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宮城県登米市のゴミ屋敷に関する条例とは?

条例の目的は?
条例を定めた目的が、第1条に記載されています。「市民、事業者、土地又は建物の占有者、市等が一体となって、空き缶、空き瓶、紙くず、たばこの吸い殻等のごみの散乱を防止するとともに、散乱ごみの清掃を行うことにより、環境美化の促進を図ることを目的とする」ゴミを散らかさないだけでなく、散乱したゴミを片付けるなど、市全体で積極的に環境美化に努めていくことを主眼に置いています。 さらに、第2条は次のように記載されています。
「市民等(市民、滞在者及び旅行者をいう。以下同じ。)は家庭外において、自ら生じさせたごみを持ち帰るなどして、みだりにごみを捨ててはならない」美しい自然を多く擁する登米市ですが、観光資源も多いため、多くの人が訪れれば、当然ゴミが大量に出ます。 このようなことを防ぎ環境を美化するためには、外でゴミを捨てず持ち帰ることが有効です。 美しい自然を多く擁する登米市だからこその条例かもしれませんね。
どのように美化に参加するの?
登米市市民や登米市に滞在する人、登米市への旅行者などは、登米市の環境美化に協力する義務があります。 どのように協力していくのでしょうか。 第2条2項では、次のように記載されています。「市民等は、自らその身近な地域における清掃活動等環境美化の促進に関する実践活動に積極的に参加するとともに、市が実施する環境美化の促進に関する施策に協力しなければならない」つまり、自分たちで普段から環境を美化する努力をしていくだけでなく、地域の清掃活動や、市が行う美化の促進に協力しましょうということです。 登米市のホームページでは、環境保全活動を行っている市内21の小学校、10の中学校、21の公民館・ふれあいセンターが挙げられ、それぞれの取り組みが紹介されています。 例えば、登米市立加賀野小学校では、毎年2回、学校周辺のゴミ拾いを行ったり、プルタブや空き缶などの回収を通して地域の環境保全活動への意識を高めています。 登米市立登米中学校では、全校生徒が町内の10箇所で約1時間の清掃を行います。 この活動を通じ、奉仕の心や郷土愛、地域への感謝を育んでいます。 また、新田公民館(新田地区コミュニティ推進協議会)では、ゴミの不法投棄を防止するため、鳥居の形をした不法投棄防止看板を設置しています。 森公民館(森地区コミュニティ推進協議会)では、職員を環境学習の指導者として派遣し、小学生を対象にしたエコアップ教室を年間4〜5回開催し、環境についての学習を行っています。 登米市では、このようにして、地域に暮らす老若男女すべてが、地域を愛し、環境を守る意識を育てています。 また、宮城県登米市で事業を行う人々も例外ではなく、第3条において以下のように定めています。
この活動については、以下のように業種による活動も定められています。
- 事業者は事業活動を行うことで出るゴミが散乱しないよう適切な処分をしなくてはならない
- 環境美化を促進するべく雇用者を教育・啓発していく役目がある
飲料業者
ペットボトルや缶、びんなど、容器に入った飲料を販売する小売業者は、空いた容器が散乱しないよう、消費者の啓発を行います。 また、販売場所に、空いた容器を捨てるゴミ箱を設置し、維持・管理します。たばこ業者
たばこを販売する小売業者は、たばこの吸い殻が散乱しないよう、消費者の啓発を行います。観光業者
旅行業者、ホテル・旅館などの営業者、旅客を運送する事業者、そのほか観光に関する事業者は、ごみが散乱しないよう、登米市への観光客の啓発を行います。 このように、登米市在住者だけでなく、労働者、観光者に関しても、市内を美しく保つための条例が定められているのです。宮城県登米市のゴミ屋敷に関する条例とは?

土地・建物の持ち主の義務とは?
土地や建物に関する条例は、第4条以降に見られます。 第3項のように、公園や駅、広場などの公共の場についても述べていますが、第1項・第2項が、ゴミ屋敷を生まないための基本的な内容となっています。「土地又は建物を占有し、又は管理する者(以下「占有者等」という。)は、その占有し、又は管理する土地又は建物におけるごみの散乱を防止するため、土地又は建物の利用者の啓発を行うとともに、散乱ごみの清掃を行うなど環境整備に必要な措置を講じなければならない」土地・建物を持つ人自身はもちろん、賃貸住宅などに住む人に対して、大家さんや管理人などはゴミを散乱させたりせず、きれいな環境を保つよう啓発する必要があります。 また、環境美化のため、率先してゴミを片付けたり、清掃したりしなくてはなりません。 第2項では「占有者等は、市が実施する環境美化の促進に関する施策に協力しなければならない」としています。 個人での美化活動だけでなく、登米市が環境美化に関して施策した場合、それに協力しなくてはなりません。 これに対し、第5条では「市は、総合的な環境美化の促進に関する施策を策定し、これを実施するとともに、その実施について市民等、事業者、占有者等、県及び国に対して必要な協力要請を行うものとする。」としています。 登米市は環境美化に対する対策を講じ、それを市民はじめ、その土地や建物を使用している人に協力を要請します。 この要請は、第6条で市長が行うこととなっています。
ゴミ屋敷への対策とは?
では、実際にゴミ屋敷が見つかった場合、どのようになるのでしょうか。 第14条では以下のように記載しています。「市長は、重点地域内の土地にごみが著しく散乱している場合において、当該土地の占有者等が散乱ごみの清掃その他の環境美化の促進に必要な措置を容易に講ずることができるにもかかわらず、これを行っていないと認めるときは、当該土地の占有者等に対し、期限を定めて、当該措置を構ずべきことを勧告することができる」片付けや清掃ができる状態にも関わらず、ゴミを放置している場合、市長から片付けの勧告がなされます。 必要な場合は、立ち入り調査も行われます。 立ち入り調査を行うのは、市長が選定した環境美化推進委員です。
勧告に従わない場合の罰則は?
調査の結果、勧告を受けた人が、もし従わない場合、どのような罰則が設けられているのでしょうか。 第15条では、占有者に対して環境美化に関して必要な報告を求めることができます。 それでも改善されない場合、第16条で環境美化推進委員が環境美化を損ねている土地や建物に立ち入り、維持・管理の状況を調査します。 第17条では調査の結果、改善を求める勧告がなされますが、その人が勧告に従わないこと、また、勧告の内容を公表することができます。まとめ
